起業家に学ぶ仕事論:ケビン・シストロム

こんにちは、てぃーです。

今回は、インスタ映えという言葉とともに日本でも大流行した写真共有アプリInstagramの共同創設者、元CEOのケビン・シストロム氏を取り上げたいと思います。

Instagramは、リリースから10年猛スピードで成長を遂げ、今や月間アクティブユーザー数は世界で10億人を超えており、実はTwitterの3億3千万人を大きく上回るユーザーの心を掴んでいます。

写真共有アプリというシンプルなプロダクトがなぜ社会現象を生み出すまでに至ったのか、Instagramの誕生秘話やその成功の秘訣を紹介したいと思います。


プロフィール

https://www.instagram.com/p/BamdzE9BwHK/

氏名:Kevin Systrom
生年月日:1983年12月30日
出身:アメリカ合衆国マサチューセッツ州
Twitter:https://twitter.com/kevin


経歴

  • 2004年冬

    写真の勉強のためフィレンツェに留学(21歳)

  • 2005年

    Twitter創業者のもとでインターンを経験(22歳)

    マーク・ザッカーバーグからFacebookに誘われるも断る

  • 2006年

    スタンフォード大学を卒業し、Googleに入社(23歳)

    大学ではManagement ScienceとEngineeringを専攻

  • 2008年

    Googleを辞めスタートアップNextstopへ転職(24歳)

    GoogleではマーケティングとM&Aに関わる

  • 2009年10月

    Instagramの前身Burbnの開発に着手(25歳)

  • 2010年3月

    50万ドルの資金調達を完了(26歳)

    Baseline Ventures、Andreessen Horowitzから出資を受ける

  • 2010年5月

    Mike Kriegerが共同創業者として加わる(26歳)

  • 2010年10月

    Instagramアプリをリリースし、1週間で10万ユーザーを獲得(26歳)

  • 2010年12月

    月間アクティブユーザー数が100万人を突破(27歳)

  • 2011年7月

    月間アクティブユーザー数が500万人を突破(27歳)

  • 2011年9月

    月間アクティブユーザー数が1,000万人を突破(27歳)

  • 2012年4月

    InstagramをFacebookに1億ドルで売却(28歳)

  • 2013年2月

    月間アクティブユーザー数が1億人を突破(29歳)

  • 2016年6月

    月間アクティブユーザー数が5億人を突破(32歳)

  • 2018年6月

    月間アクティブユーザー数が10億人を突破(34歳)

  • 2018年9月

    CEO辞任を電撃発表(34歳)


フィレンツェで写真を学ぶ

シストロムはスタンフォード在学時に人生の転機となる2つの出来事を経験しています。

1つは大学3年生で経験したフィレンツェ留学でした。趣味だった写真を本格的に学ぶために海外留学を決め、言語がいちばん簡単だったという理由でイタリアを留学先に決めたそうです。

留学中、シストロムは持って行った高価なNikonではなく、教授から渡されたHolgaという中国製の安価なインスタントカメラで写真を取るよう指導を受けます。シンプルな造りのHolgaで撮影された正方形の白黒写真を薬品に漬けて着色するプロセスを学んだ経験がインスタグラムのプロダクトデザインに活かされています。


Twitter創業者のもとでインターンを経験

もう1つの経験は帰国後に参加したインターンでした。シストロムが参加したMayfield Fellows Programは、スタートアップにインターンとして参加し、起業家やベンチャーキャピタルのアドバイザーと接点を持つことが出来るスタンフォードの起業家育成プログラムです。

そこでシストロムはTwitterの前身であるOdeoに3カ月インターンすることになります。Odeoは当時ポッドキャストの配信を行う会社でしたが、ブログサービスBloggerを生み出しGoogleへ売却したエヴァン・ウィリアムズに加え、のちにTwitterや決済サービスSquareの生みの親となるジャック・ドーシーがエンジニアとして働いており、シストロムにとってスタートアップの刺激的な環境を味わう初めての機会となりました。


Instagramの前身を開発

スタンフォード卒業後、シストロムはGoogleに入社し、GmailやGoogleカレンダーのマーケティングやM&Aに関わる仕事に2年間従事しましたが、Odeoで経験したスタートアップの刺激を求めて、元Google社員の立ち上げたスタートアップNextstopへ転職します。

シストロムはNextstopで働きながら、夜や週末の時間を使ってコーディングを学び、2009年10月に彼自身のサービスの開発に着手します。彼の写真への情熱と、当時流行っていたチェックインアプリFoursquareとソーシャルゲームアプリZyngaを組み合わせたアプリの実現を目指した結果、ゲームの要素は開発難易度が高かったため、位置情報を利用したチェックインと写真の共有が出来るSNSとしてBurbnの開発に乗り出します。

Burbnの開発を始めて半年後の2010年3月に転機が訪れます。シリコンバレーを拠点とするスタートアップのパーティに参加した際に、2人のベンチャーキャピタリストにプロトタイプを見てもらい、後日ミーティングの機会をもらえることになります。

シストロムはNextstopを辞めてBurbnに集中し、最初のミーティングから2週間のうちにBaseline Ventures、Andreessen Horowitzから合計50万ドルの資金を調達することに成功しします。

一方、共同創業者を見つけることが投資の条件だったため、スタンフォード時代から知り合いだったエンジニア兼デザイナーのMike Kriegerが参画することになります。


Instagramが大ヒット

Burbnはリリース後、なかなかユーザーを増やすことが出来ずにいましたが、シストロムの妻ニコルのアドバイスをきっかけにして生まれ変わり、急速にファンを増やしていくことになります。

そのアドバイスは色彩フィルターを搭載する、というものでした。上手に写真を撮れないからBurbnに写真を投稿する気にならないけど、上手な人がやっているように、写真にフィルターをかけられるようになったら使いたくなるのでは、というニコルのアドバイスからX-Pro 2という色彩フィルターを搭載することになります。

さらに、写真を共有する顧客体験を追求するため、搭載する機能を写真の投稿、コメント、いいね機能のみに絞り、アプリの名称もInstantとtelegramを組み合わせたInstagramに改名します。

Instagramは2010年10月6日Appストアにリリースされると圧倒的な人気を誇り、1日で25,000ユーザーを獲得し、無料の写真共有アプリでトップに躍り出ます。その後も1週間で10万ダウンロードを達成、同じ年の12月には月間アクティブユーザーが100万人を突破し、リリース後1年経たない2011年9月には月間アクティブユーザーが1,000万人を突破します。


Facebookに10億ドルで売却

Instagramの急成長を目の当たりにして、買収に興味を示す企業が現れます。学生時代にシストロムを引き抜こうとしたマーク・ザッカーバーグ率いるFacebookです。2002年4月FacebookはInstagramへ買収のオファーを出し、買収金額10億ドルに加えて、継続して独立した経営が出来ることを約束しました。

着実にユーザーを獲得してはいましたが、当時の社員数は13人、売上もほぼゼロのInstagramを10億ドル近い金額で買収しようとするFacebookに対して懐疑的な声もありましたが、PCを軸にサービスを拡大してきたFacebookにとってモバイルを軸とするInstagramを傘下に加えることは事業戦略上とても重要だったのではないか、と考えられています。

結局InstagramはFacebookに約10億ドルで買収されますが、実はOdeoで出会ったジャック・ドーシー率いるTwitterも5億ドル近い金額とともに買収のオファーを出していたことが分かっています。


CEO退任を電撃発表

2018年6月に月間アクティブユーザー数が10億人を突破し、勢いの止まらないInstagramでしたが、同年9月に衝撃的な出来事が起こります。

なんと創業者のシストロムとクリーガーがInstagramのCEO、CTO退任を電撃発表します。理由は明らかにされていません。一説ではザッカーバーグの経営方針に不満があったのではと言われていたり、また一説では創業者の2人は事業の成長にはもとから興味がなかったのではとも言われています。


Instagramを生み出した課題発見の手法

シストロムはスタンフォード生向けの講義の中で、大抵の課題は解決するのは簡単だが、解決すべき適切な課題を見つけることが難しいと述べた上で、Instagramを生み出した課題発見の手法を語っています。

具体的には、解決すべき課題トップ5を紙に書き出し、その中からトップ3を決めることで解決策を絞り込むことができると語っています。Instagramは次の3つの課題に対する解決策として生まれたと紹介しています。

1. スマホだと写真の映りが良くない

2. スマホだと写真のアップロードに時間がかかる

3. Facebook、Twitterなど複数のサービスに一度にシェア出来ない

そのうえで、課題を見つけたらすぐに形にして他の人に見てもらい、仮説が正しいかをとにかく早く検証することが大切だと語っています。


最後に

Instagramを生み出すきっかけとなる出来事を大学生のときに経験していることが非常に興味深いと思いました。起業家の中には大学を中退しているケースが少なくないですが、シストロムはFacebookのマーク・ザッカーバーグからの誘いを断って最後まで大学に通っています。

社会に入る前に自分の好きなことを好きなだけ出来る大学時代は、人生の大きな転機になるような素敵な経験やチャンスに満ち溢れているのかもしれませんね。


最近ではYoutuberが有名ですが、Instagramで起業する方も生まれ始めています。初めての方にはこちらの本がおすすめです。


今回は以上になります。

ここまで読んでくださりありがとうございました。