
こんにちは、てぃーです。
今回は、中国のライドシェアサービス「DiDi」を運営する滴滴出行(Didi Chuxing)の創業者の程維(チェン・ウェイ)氏を取り上げたいと思います。
DiDiは2012年にサービスを開始し、中国を中心に世界で5.5億人以上のユーザーに利用され、1日の乗車回数が3,000万件を超えるなど、実はUberを大幅に上回る世界最大級のライドシェアプラットフォームとなっています。日本でもソフトバンクと協業してタクシー配車サービスの提供を2018年に開始しています。
後発のDiDiが中国国内の競合やUberを追い抜いて、世界最大のライドシェアプラットフォームに成長するに至る、チェン・ウェイ氏の競争戦略について紹介したいと思います。
目次
プロフィール
氏名:程維(Cheng Wei)
生年月日:1983年5月19日
出身:中華人民共和国江西省上饒市
経歴
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2005年
北京化工大学の経営学部を卒業、アリババに入社(22歳)
B2B部門で最年少エリアマネージャーに就任
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2011年
アリペイのB2C部門の副部長に昇格(28歳)
営業マネージャーからプロダクトマネージャーに転身
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2012年6月
アリペイを辞めて小桔科技を設立(29歳)
配車アプリDiDi Taxi(嘀嘀打車)の開発を始める
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2015年2月
快的打車と合併し嘀嘀快的に社名変更(31歳)
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2015年9月
滴滴出行にブランド名を変更(32歳)
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2016年8月
Uberの中国事業を350億ドルで買収(33歳)
アリババで営業とプロダクトマネージャーを経験
チェンは大学を卒業して、最初に大手ECサイトを運営するアリババで働いていますが、他の人とは違う方法で入社しています。当時22歳のチェンは、アリババの上海オフィスをアポなしで訪ね、受付の人に「ここで働かせてください」と伝えるという、やや強行な手段を取りました。普通であれば、出直すように求められるところですが、チェンの熱意や行動力が評価され、B2B部門の営業として採用されることになります。
チェンは営業として6年間にわたり優秀な成績をおさめ、28歳でアリババ最年少のエリアマネージャーに任命されます。その後、アリペイで副部長に就任し、役割も営業マネージャーからプロダクトマネージャーに変わっています。
会社存続の危機を大雪に救われる!?

今や中国で多くのシェアを獲得しているDiDiですが、実は世界的には後発のライドシェアサービスでした。アメリカ発の「Uber」が2009年、イギリス発の「HAILO」が2010年にライドシェアサービスの提供を開始したのを見て、その可能性に注目したチェンは、2012年6月にアリペイを辞めてオレンジテクノロジーを創業します。初代の配車アプリはDiDi Taxi(嘀嘀打車)と名づけられました。
世界的にはやや遅れてのスタートとなりましたが、結果として2012年はチェンにとって幸運な年になりました。2012年の暮れに北京を襲った大雪のおかげで、初めて1,000を超える配車を受注したことで、ベンチャーキャピタリストの注目を集め、300万ドルの出資を得ることに成功します。チェンは「もしあの年に雪が降らなかったら、DiDiは今もう存在しないでしょう」と当時のことを振り返っています。
国内ライバルとの戦い
DiDiが中国国内ナンバーワンの配車サービスに昇りつめるまでには、競合サービスとの激しい戦いがありました。中国ではスタートアップ企業の成功の鍵は、通称BATと呼ばれるバイドゥ(Baidu)、アリババ(Alibaba)、テンセント(Tencent)の3社との関係性の強さで決まると言われており、配車サービスの勢力争いも同様の構図となりました。
2013年にアリババが「快的打車」を展開する「快智科技」へ出資したことを皮切りに、テンセントが「嘀嘀打車」へ出資したことで、ユーザー獲得競争が始まります。
2社はユーザー獲得のために「紅包大戦」と呼ばれる巨額の広告キャンペーンを実施します。具体的には、それぞれの配車サービスを利用すると、ドライバーと乗客にAlipay、WeChatPayで支払に利用できるポイントをもらえるというキャンペーンでした。
「嘀嘀打車」と「快的打車」の競争は2年近く続きますが、Uberの中国進出をうけて終焉を迎えます。2014年12月にBaiduの出資を受けたことで、Uberの中国での地位が大きく向上し、2社にとって大きな脅威となりました。Uberに対抗するため、2015年2年に2社は合併し、社名を「嘀嘀快的」に変更し、同年9月にはブランド名を「滴滴出行」に変更し、ロゴの刷新も行っています。
Uberとの戦い

2社が合併したことで中国国内で圧倒的なシェアを獲得した「嘀嘀快的」はさらに攻勢に出ます。チェンは中国での交渉を有利に進めるため、アメリカでUberの競合であるLyftに1億ドルの出資をし、Appleから10億ドルの資金調達に成功します。
結果、Uber中国はDiDiとの競争の中で利益を生み出すことが出来ず、2016年8月DiDIからの3,500万ドルの買収提案を受け入れます。実は、2013年にUber創業者のトラビス・カラニックがチェンを訪ねた際、DiDiへの出資を検討していましたが、当時の交渉は失敗に終わっていました。
最後に
ライドシェアサービスで後発のDiDiがUberを抑えて世界No.1の配車プラットフォームの地位を築いたことから、これからのビジネスにおいては、中国市場での成否が世界でシェアを獲得できるかどうかに大きく関わることが良く分かります。
DiDiが中国市場でシェアを獲得できた最大の要因は、快的打車との合併、Uber中国の買収を経て、BATの3社すべてから出資を受けたことにあると考察できます。そういった観点で今後の中国進出を狙う企業の動向にも注目していきたいと思います。
今回は以上になります。
ここまで読んでくださりありがとうございました。