こんにちは、てぃーです。
今回は、YouTubeの共同創設者、元CEOのチャド・ハーリー氏を取り上げたいと思います。
YouTubeは世界中で20億人を超えるユーザーを抱える動画投稿プラットフォームで、YouTuber(ユーチューバー)という新しい職業を生み出すほどの影響力を持っています。
YouTubeの誕生秘話、M&A、CEO退任後のハーリーのチャレンジとその成功の秘訣を通して、皆さまに人生の成功エッセンスをお届け出来ればと思います。
目次
プロフィール
氏名:Chad Meredith Hurley
生年月日:1977年1月24日
出身:アメリカ合衆国ペンシルバニア州
Twitter:https://twitter.com/chad_hurley
経歴
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1992年
PayPal入社(22歳)
ペンシルバニア州立インディアナ大学でfine artsを専攻し卒業
PayPalの15番目の従業員として雇われる -
2002年10月
PayPal売却(25歳)
PayPalがeBayに15億ドルで買収される
eBayを辞め、シリコンバレーでデザインコンサルタントとして働く -
2005年1月
YouTubeのアイデアが生まれる(28歳)
PayPal時代の同僚Steve ChenのホームパーティをきっかけにYouTubeのアイデアが生まれる
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2005年2月
YouTube起業(28歳)
Steve Chenと共に自宅ガレージで起業する
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2005年5月
YouTube β版を公開(28歳)
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2005年10月
YOUTUBE, INC.を設立(28歳)
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2005年11月
ベンチャーキャピタルから出資を受ける(28歳)
Sequoia Capitalから350万ドルの出資を受ける
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2005年12月
YouTube公式サービスを開始(28歳)
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2006年10月
YouTubeをGoogleに16.5億ドルで売却(29歳)
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2010年10月
YouTubeのCEOを退任(33歳)
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2011年
Steve Chenと共にAVOS Systems設立(34歳)
PayPal売却まで
ハーリーは大学卒業後、1999年にインターネット決済サービスを手掛けるPayPalに就職します。ハーリーはPayPalで15番目の従業員で、最初のグラフィックデザイナーとして雇われています。実は、PayPalのロゴはハーリーがデザインしたものです。
当時のPayPalは従業員10名弱のスタートアップでしたが、ピーター・ティール、イーロン・マスク、ジェレミー・ストップルマン、リード・ホフマンなど後に投資家、起業家として大成し『ペイパル・マフィア』と呼ばれるメンバーが名を連ねるカリスマ集団でした。ハーリーも後にYouTubeの共同創業者となるSteve Chen、Jawed KarimとPayPalで出会っています。
2002年10月にPayPalをeBayに15億ドルで売却すると、ハーリーは会社を辞めデザインコンサルタントとしての仕事を開始します。
YouTube誕生
2005年1月元PayPal同僚だったSteve ChenのホームパーティをきっかけにYouTubeのアイデアが生まれることになります。ホームパーティで撮影した動画を参加者にシェアするのにEメールではとても不便だということに気づき、当時、Flickrをはじめ写真をシェアするサービスはあったので、動画をシェアするサービスも実現できるのではないか、と考えたことがYouTubeの始まりでした。
2005年2月ハーリー、チェン、カリムの3人はwww.youtube.comのドメインを取得し、ハーリーの自宅ガレージでサービスを立ち上げます。初期のコンセプトは出会い系サイトHOTorNOT(異性の画像に1~10の点数をつけて評価するサイト)の動画版でしたが、2005年5月にβ版をリリースすると、創業者の予想は外れユーザーは自分の好きな動画を投稿しシェアするようになります。
YouTubeに最初に投稿された動画は『Me at the Zoo』というタイトルで、カリムがサンディエゴ動物園でゾウのカッコよさについて語る19秒間の動画でした。
YouTubeのユーザーは急速に増え、一度に何千ものユーザーが同時にアクセスするようになると、サーバーを維持するためのコストが膨らみ資金がショートしかけるのですが、そこで3人に幸運が訪れます。2005年11月シリコンバレーのベンチャーキャピタルSequoia Capitalから350万ドルの出資を受け、2005年12月15日公式にYouTubeがサービスを開始します。
GoogleにYouTube売却
YouTubeは急速にユーザーを拡大し、2006年7月時点で1日に6万5千本以上の動画がアップロードされ、1日の動画再生回数は約1億回にのぼる程のサービスとなっていました。一方で、サービスの成長に対する資金面の不安、著作権侵害に対する訴訟の懸念から売却を検討します。
Yahoo、MicrosoftなどがYouTube買収に名乗りを上げましたが、最終的にその権利を勝ち取ったのはGoogleでした。買収金額16.5億ドルに及ぶこのM&Aは2006年10月に合意に至り、Googleにとっても当時最大規模のM&Aとなりました。
一方で、Google CEOのEric Schmidt氏はのちに当時のYouTubeの査定価格は6億~7億ドルだったと明かしており、10億ドルも高い金額を提示してでも急速にユーザーを獲得していたYouTubeを競合他社に奪われてしまうことを避けたかったと語っています。
Googleは元々Google VideoというYouTubeに近いサービスを自社で開発していましたが、市場拡大のためにはYouTubeの買収が事業戦略上非常に重要だったという背景もあります。
YouTube CEO退任
ハーリーはいくつかの新たな挑戦をするために2010年10月YouTubeのCEOを退任します。
ひとつは、自身のブランド『Hlaska』の運営です。『Hlaska』は、ウォレットやバッグ、時計、メンズウェアなどを取り扱うブランドで、カリフォルニア地域に店舗を展開しています。『Hlaska』というブランド名は、Hawaii(ハワイ)とAlaska(アラスカ)を合わせた造語で、『51番目の州を目指す』という意味が込められているそうです。
もう一つは、再びSteve Chenと2011年に立ち上げたスタートアップ『Avos Systems』です。Avos Systemsはまさに2人が新たな挑戦をするために設立した会社で、一度に9個のプロダクトの開発を並行して進めていると言われています。
中でも注目を集めたのは、2013年8月のリリースされた『MixBit』です。MixBitは動画の撮影、編集、共有のすべてをモバイル端末上で行うことが出来るモバイルアプリで、他のユーザーの動画クリップを繋ぎ合わせて、独自の作品を制作することが出来るソーシャルな側面も持っており、『Vine』や『Instagram』と競合するサービスとなっています。
スタートアップ成功の秘訣
2015年7月29日ニューオーリンズで開催されたSage Summitに登壇した際に、ハーリーはその成功の秘訣を以下のように語っています。
(原文)
“It’s just using a white board … talking through things with friends or colleagues. It’s really looking for a small insight. It’s not about a big or revolutionary breakthrough where you discover this thing that no one has ever seen before. It’s just about this small detail that’s been overlooked by everyone else.”
(日本語訳)
とにかくホワイトボードを使って友人や同僚と語り合うことに尽きるね。とにかく小さな気づき探すことだ。誰もかつて見たことのないものを発見するといった壮大で革命的な新発見の話ではないんだ。むしろ、他の誰もが見落としている細部の話なんだ。
(原文)
“Companies that are large today, like Google, didn’t start with [big ideas they are now working on] like driverless cars. It started with a small idea: if one website links to another website, that creates relevance. And from there, applying that to creating a simple search engine … from there, the rest is history.”
(日本語訳)
Googleのような大企業だって最初は自動運転車みたいな壮大なアイデアから始まっているわけではないんだ。もしあるWebサイトが他のWebサイトと繋がれば、そこには繋がりが生まれる、という小さなアイデアから始まっているんだ。そこから応用してシンプルな検索エンジンを生み出し、その先はご存じの通りだね。
最後に
これまで取り上げてきた起業家と違って、設立から売却までなんと1年弱の非常に短い期間でサービスを形にしてしまうチャド・ハーリー氏のカリスマ性に驚きを隠しえません。
幾つものサービスを短期間で形にしてしまう点においては、同じくペイパル・マフィアのイーロン・マスク氏に通じるものがあると感じました。
併せてこちらも読んでみてください。
今回は以上となります。
ここまで読んでくださりありがとうございました。