起業家に学ぶ仕事論:Airbnb創業者ブライアン・チェスキー(後編)

こんにちは、てぃーです。

今回は前回に続き、個人宅の空き部屋を旅行者に貸し出す民泊プラットフォームを運営する『Airbnb』のCEOブライアン・チェスキー氏を取り上げたいと思います。

後編となる今回は、資金難に陥ったAirbnbが借金返済に成功し、投資家から出資を得て、買収を重ねて事業拡大するまでの軌跡をご紹介いたします。



シリアル販売で借金を返済!?

その後、テキサス州オースティンで開催された音楽イベントサウスバイサウスウェスト(SXSW)やコロラド州デンバーで行われた民主党全国大会などの大規模イベントで一時的に増やすことに成功しますが、継続的な利用者を獲得することが出来ず、資金難に陥ってしまいます。

そこで、なんとシリアルを作って売ることになります。元のアイデアは、ホストが朝食として提供するためのシリアルを自分達で作るということだったのですが、いざ作ってみたらデザインが良く売り物として販売することになります。

当時、アメリカ大統領選挙戦が繰り広げられていたため、民主党候補のオバマ氏と共和党候補のマケイン氏をそれぞれ商品イメージに採用し、『Obama O’s(オバマ・オーズ)』『CAP’N MCCAIN’S(キャプテン・マケイン)』の2種類のパッケージデザインを制作し、1ドルで購入した市販のシリアルを詰め替えてコレクター用に40ドルで販売することになります。メディアに露出したことで2日で2万ドルを売り上げ、最終的に約3万ドルの売上を達成し、借金の返済と会社の運転資金に充てることが出来ました。


起業家育成プログラムY Combinatorに参加

そして2009年に事業を急成長させる大きなきっかけを掴むことになります。シリコンバレーの有名な起業家育成プログラムY Combinatorに申し込み、面接を通過して2万ドルの出資と3カ月のプログラムに参加する権利を得ることに成功するのです。

プログラムの中で彼らは2つのアドバイスをもらい、実行しています。

“Go meet the people!”
「ユーザーに会いに行きなさい」

“It’s better, initially, to make a small number of users really love you than a large number kind of like you.”
「最初は大勢に何となく好かれるのではなく、限られたユーザーに愛される方が良い」

彼らはサンフランシスコに住んでいましたが、ユーザーの多くはニューヨークに居たため、毎週末にニューヨークに通い、ユーザーに直接会いに行くことを始めました。ユーザー
との対話の中で、宿泊先の写真のクオリティが低いことが予約の足かせになっていることに気づき、ホストの家に自ら訪問し無料で写真撮影を行いました。すると、泊まりたいと思うゲストの数が増え、ホストは収入を得ることが出来るようになり、友人にサービスを紹介することでホストが増え、さらにゲストが今度は自分の住む場所でホストになるといった好循環が生まれ、サービスは世界へ大きく羽ばたいていくことになります。

Y Combinatorプログラムの最終日はデモデーで呼ばれ、参加者は3カ月間の成果をベンチャー投資家にプレゼンし出資を募ることが出来るのですが、セコイア・キャピタルから58万5,000ドルの出資を受けることが出来たため、プレゼンには参加しませんでした。

この頃には、当初の空いた部屋にエアーベッドと朝食を提供するサービスは見受けられなくなり、家全部を貸し出すサービスへ変化していたため、2009年3月にAirbed&Breakfastを省略した『airbnb』にサービス名称を変更します。


Airbnbの買収戦略

Airbnbは創業から今日までの間に20社を超える企業を買収しており、買収によりビジネスを拡大する戦略を展開しています。

2011/01 ドイツの民泊予約サイト『Accoleo』
2012/03 イギリスの民泊仲介サイト『Crashpadder』
2012/07 観光情報サイト『NabeWise』
2012/07 写真共有SNS『DailyBooth』
2012/10 飲食店レビューサイト『Fondu』
2012/12 地域Q&Aサイト『Localmind』
2014/12 スケジュール管理アプリ『Pencil Labs』
2015/09 フライト予約アプリ『Vamo』
2015/09 ハードウェアスタートアップ『Lapka』
2016/04 ビットコイン決済サービス『ChangeCoin』
2016/07 体験型アクティビティ予約サイト『Trip4real』
2017/02 富裕層向けのバケーションレンタルサービス『Luxury Retreats』
2017/02 マイクロ決済『Tilt』
2017/04 統合開発環境 (IDE) を開発する『Deco Software』
2017/06 身元調査サービス『Trooly』
2017/11 Web広告のテストマーケティングツール『AdBasis』
2017/11 障害を抱える旅行者向け民泊仲介サイト『Accomable』
2018/12 民泊運営代行サービス『Lucky Homes』
2019/01 スペース予約サイト『Gaest.com』
2019/03 当日ホテル予約アプリ『HotelTonight』
2019/08 出張ビジネス客向けアパートプラットフォーム『Urbandoor』


ロゴのリニューアルとその意味

airbnbが単なる宿泊ビジネスではないことを表すため、2014年7月にロゴのリニューアルを行っています。こちらがロゴのコンセプトを紹介する動画です。


The world is full of cities and towns constantly growing larger.
この世界は絶えず大きく成長する都市や町で満ちています。

But the people within them are less connected.
しかし、人々の繋がりはますます薄れています。

Yet we are yearning for a sense of place.
一方で、私たちは居場所を強く求めています。

We are all seeking to Belong.
私たちは皆どこかに居場所を求めています。

We all want to connect and share.
私たちは皆つながりたい、共有したいのです。

To feel accepted and feel safe.
受け入れられている感覚、安心感を得るために。

Imagine having that anywhere.
それをどこでも実現できることを想像してみてください。

Airbnb stands for something much bigger than travel.
Airbnbは旅行以上に大きなものを象徴しています。

We imagine a world you can…Belong Anywhere.
私たちは皆がどこでも居場所を見つけることが出来る世界を夢見ています。

This needs its own symbol.
そのためにはシンボルが必要です。

One that can be drawn by anyone and recognized anywhere.
誰にでも描くことができて、どこでも認知してもらえるものが必要です。

A symbol of belonging.
居場所があることのシンボルです。

We call it the Bélo.
私たちはそのシンボルをBéloと読んでいます。

The Bélo represents all of us, and it stands for four things: People, Places, Love, airbnb.
Béloは私たちを象徴するもので、4つのモノを表しています。

People(ヒト)、Places(場所)、Love(愛)、airbnb

Wherever you see it, you’ll know you belong.
このシンボルをどこで見つけても、自分に居場所があることに気づくでしょう。


最後に

これまで取り上げてきた起業家がエンジニア出身だったのに対して、ブライアン・チェスキーはデザイナー出身だったことで、パッケージのデザインを手掛けてシリアル販売に乗り出したり、大胆なロゴの刷新を成功に導いたり、Airbnb特有方法で成長することが出来たのだと思いました。



今回は以上になります。
ここまで読んでくださりありがとうございました。