こんにちは、てぃーです。
今回は、中国でBAT(Baidu、Alibaba、Tencent)と呼ばれる3大企業のひとつアリババの創業者ジャック・マー氏を取り上げたいと思います。
アリババは、Amazonと並んで世界有数のシェアを誇るECサイトを運営するeコマース企業です。Amazonがオンライン書店を始めたのが1994年だったのに対し、アリババの創業は1999年で世界的に見れば後発でしたが、中国国内で圧倒的なシェアを誇りAmazonの進出を退けることに成功しています。
ソフトバンクの孫正義からもカリスマ経営者として称されるジャック・マー氏ですが、意外なことに勉学優秀だったわけではなく、むしろ落第生として失敗を重ねる人生を歩んでいます。
そんな冴えないジャック・マー氏がアメリカへ渡り、インターネットと出会ったことで人生に転機が訪れ、アリババグループを築き上げるまでの失敗と成功の歴史をお届けします。
目次
プロフィール
氏名: 馬雲(Ma Yun)
生年月日:1964年9月10日
出身:中国浙江省杭州市
https://twitter.com/jackma
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1988年
杭州師範大学の英語専攻を卒業(24歳)
卒業後、杭州電子科技大学で英語教師として勤める
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1992年
通訳会社を設立する(28歳)
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1994年
スタンフォード進学を目指して渡米(30歳)
アメリカ人の友人からインターネットの存在を知る
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1995年4月
中国企業の一覧を掲載するChina Pagesを開設(30歳)
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1999年3月
アリババ創業(34歳)
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2000年
2500万ドルの資金調達に成功(35歳)
ソフトバンク率いる孫正義から2000万ドルの出資を受ける
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2003年
Taobao、Alipayをリリース(38歳)
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2005年
登録会員数1000万を突破する(40歳)
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2006年月
登録会員数2000万を突破する(41歳)
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2014年9月
ニューヨーク証券取引所に上場(50歳)
失敗続きの20代
世界有数の大企業のAlibabaの創業者として有名なジャックですが、実は学生時代に多くの失敗を経験しています。
ジャックは、勉強が苦手だったため高校受験に2回、大学受験に3回失敗しています。特に数学が苦手で、1回目の大学受験では100点満点中なんと1点、2回目でも19点しか取れませんでした。3回目でついに数学でも89点取れるようになりましたが、他の科目も合わせた合格点に5点足りず失敗しています。
失敗していたのは受験だけではありません。1回目の大学受験に失敗したジャックは、自分には勉強は向いていないと思い、就職活動を始めますが、そこでも失敗しています。地元に新しくできるケンタッキーのオープニングスタッフに応募しますが、なんと不採用となっています。
社会人生活もなかなか上手くいきません。大学を卒業して英語教師になったジャックでしたが、月に1200円ほどの収入しか得ることが出来ませんでした。より良い生活を求めて、初めて起業した通訳会社においても成功をおさめることはありませんでした。
インターネットとの出会い
失敗続きの20代を過ごしたジャックの人生を変えたのはインターネットとの出会いでした。30歳でハーバード進学を目指してアメリカに渡ったジャックは、友人から教えてもらいインターネットの存在を知ります。
しかし、彼はインターネット上に中国に関するサイトがないことに気づきます。具体的には、「ビール」と検索しても中国産のビールの情報だけは見つけることが出来ず、中国に関する一般的な情報ですら見つけることが出来ませんでした。
そこで、ジャックが中国に関するウェブサイトを開設すると、3時間も経たないうちに中国の投資家から問い合わせがあり、早くも彼はインターネットの可能性に気づくことになります。
中国に帰国したジャックは、仲間から2万ドルの開業資金を集めて、中国企業の一覧を掲載したChina Pagesというウェブサイトを開設します。China Pagesは開設から3年のうちに100万ドルの評価額を得ることに成功しますが、通信大手のChina Telecomに吸収され、経営から追い出されてしまいます。
アリババの誕生と孫正義との出会い
アリババの歴史は、ジャックが友人17人と共にBtoB ECサイトAlibaba.comを開設した1999年に始まります。中国を中心としたeコマース経済圏を東アジアに展開する彼の構想は、投資家の注目を集め、ゴールドマンサックスから500万ドル、ソフトバンクから2000万ドルの資金調達に成功します。
しかも、ソフトバンクからの出資はなんと10分間の面会で決まったと言われています。インターネットバブルと言われた2000年、孫正義がビジネスチャンスを求めて訪問した中国企業20社のうちの1社がアリババでした。ほとんどの経営者が出資を求める中で、ジャックは出資を求めないどころか、事業計画すら語らなかったそうです。ひたすらに夢を語るジャックにカリスマ性を見出した孫氏は、必要ないと言われても自分のお金を受け取ってほしいと出資を申し出たと言います。
アリババグループの主なサービス
アリババはBtoB ECサイトであるAlibaba.comから始まり、BtoC、CtoCへと事業を多角化し成長を続けています。ジェフ・ベゾス率いるAmazonですら参入することが出来なかった中国で、アリババグループがどんな事業を展開しているのかについて紹介します。
Alibaba.com
世界中のサプライヤー企業とバイヤー企業のマッチングが可能なBtoBオンライン・マーケットプレイスです。商社を介さずに輸出入を行うことが出来るため、中小企業の海外販路開拓を支援する役割を担っています。240以上の国と地域から1,400万人以上のユーザーに利用されており、アクセス数は月間60億PVを超える巨大ECサイトです。
Tモール(天猫)、Tモールグローバル(天猫国際)
アリババグループが運営する国内、国外向けのBtoCサイトです。中国で「独身の日」と呼ばれる11月11日に開催する24時間限定の大規模なセールが有名で、2019年にはたった1日でなんと4兆円を超える取引がTモール上で行われています。
Taobao(淘宝網)
日本のメルカリのように、個人間で商取引ができるCtoCオンライン・マーケットプレイスです。2003年にサービスを開始したTaobaoですが、最近ではインフルエンサーが生配信で商品のPRを行う「ライブコマース」が流行っています。
Alipay(支付宝)
2003年にサービスを開始したオンライン決済サービスです。ECサイトでの決済のほか、実店舗でのスマートフォン決済、公共料金の支払いなどにも利用されています。日本国内でも2017年の春節を機に多くの店舗で利用可能となりました。
Alibaba Cloud(阿里雲)
2009年9月にサービスを開始したクラウド・コンピューティングサービスです。東南アジア地域を中心に展開しており、日本国内でも2016年12月からサービス提供を本格的に開始しています。
最後に
これまで取り上げてきた起業家の中で、ジャック・マー氏が最も秀でているところは、恐らく人を惹きつける魅力ではないかと思いました。
たしかに、彼は勉学において優秀な訳でも、エンジニアやデザイナーとして才能があった訳でもありません。それでも、会社の設立に必要な資金を集めることが出来たのは、自分の夢を語り相手を共感させる魅力をジャック・マー氏が持っていたからだと思います。彼の人間としての魅力が、まさに彼をカリスマ経営者たらしめる理由なのではないかと思います。
今回は以上になります。
ここまで読んでくださりありがとうございました。